子猫の生存率は50%以下…。「子猫を迎えたら、まずすること」とは?

ある保護猫さんのブログに、

「外で暮らす保護猫が、今年20匹の子猫を産んでしましました。全て避妊去勢をしようと思いましたが、保護できた子猫はたった9匹。半数以下でした。病気や怪我、または外敵のせいで、あっという間に死んでしまいました。子猫の生存率はとても低いのです。」

という内容が紹介されていました。20匹中生き残れたのはたったの9匹。子猫の生存率は50%以下。適切な環境とケアの仕方を知らないと、たとえ自宅で飼ったとしても、子猫の飼育は油断はできません。

前回の猫壱セミナーで、スコティッシュフォールドについて専門セミナーを行ってくれた矢崎先生。東京猫医療センターの獣医師として毎日たくさんの猫を診察しています。
以前大手保険会社で、ペットショップで販売される前の子猫の健康チェックというお仕事も経験されている矢崎先生。

路地裏で子猫と運命の出会いをしてしまう可能性は誰にでもありますよね。

ペットショップで子猫に「一目惚れ」して連れて帰ってしまったら、どうしたら良いのでしょうか。早速矢崎先生にインタビューしてみました。


 

Q:矢崎先生は今までどれくらいの子猫の診察をされて来たのでしょうか?

矢崎先生:ペットショップにいた子猫も含めれば70頭ほどの子猫は目にしてきました。
 

Q:昔、生後すぐの子猫を拾った時、中々ミルクを飲んでくれなくて困りましたが、何かコツがあるのでしょうか?

矢崎先生:子猫の多くは食欲があることが普通です。飲みが悪い場合は体が弱っている場合もあります。動物病院で指示を仰ぐのが一番でしょう。
他に問題がない場合ならば子猫の持ち方、ミルクを口に流し込む早さやタイミング、そういった所に違いがあるかもしれません。
 

Q:拾った子猫ですが、前日までは元気だったのに、翌日の朝冷たくなっていたこともありました。子猫の世話で夜間に気をつけることなどもありますか?

矢崎先生:1日1日の変化を細かく注視してあげてください。

感染症や先天性の奇形など突発的な死を迎えてしまうことはありますが、前日まで元気100%のところから急死することよりも段々と食事量や動きが悪くなって亡くなるケースの方が多いと思われます。

哺乳がうまく出来ているかなど動物病院に相談しサポートしてもらうことは必要です。

夜間の間に気を付けることとしては保育箱の中に危険がないか(ほつれたタオルにからまることもあります)、段ボールなどを利用している場合は壁を登って落ちる可能性はないかなど。

保育箱にいれる必要の無い子猫ならばオモチャや植物など誤食する可能性のものは完全に取り除いてください。

これらは夜間だけでなく昼間も同じです。日中に知らないうちに食べたヒモが原因で数日後に死んでしまうこともあります。


 

Q:先住猫がいる場合、子猫に興味津々で近寄って来ますが、拾ったばかりの子猫を一緒に遊ばせても大丈夫ですか?

矢崎先生:住宅事情上許されるのならば暫くは直接的な接触は避けてください。

先住猫に感染する可能性があるものは猫風邪、消化管内寄生虫、猫エイズ、猫白血病と様々です。

風邪や寄生虫は薬で対応することも可能ですがエイズや白血病は一度感染してしまうと取り返しがつきません。

保護してから1ヵ月もしくは生後半年を超えないと正確な結果が出ないものもあります。

ただ結果出るまで接触を断ってしまうとお互いに慣れにくくなる可能性が高くなるのでウイルスチェックをしないとしても駆虫が済むまではケージごしに顔を合わせる、トイレを別にするなど対応してあげてください。
 

Q:子猫のとき、オスとメスで世話をするときの違いはありますか?

矢崎先生:生活するにあたって性別による世話の違いはないでしょう。
 

Q:子猫は体温が測りにくくて困ったことがあるのですが、良い方法はありますか?

矢崎先生:動物用の体温計(先端が軟らかく作られていますので肛門を傷つけにくいです)や耳用の体温計を使ってみてはいかがでしょうか。

子猫、成猫ともに自宅で測定するのなら耳用の方(肛門より精度は下がりますが)が安全度は高いです。


矢崎先生、お忙しいところを有難うございました。

(記事 bzp00343)