洪水、台風、そして地震……。最近の日本は本当に災害大国といって良い状況が続いています。
天災の怖いところは、いつ自分が巻き込まれるかわからないところ。明日は我が身。他人事ではありません。
そんな未来の災害から、もしかして愛猫が救ってくれるかも？
そんなまさか、と思うなかれ。猫を含む動物の「第六感」は実は世界中で報告されています。調べてみたところ、動物の「第六感」が記録されているのはなんと紀元前373年のギリシャ。
猫や犬、ヤギなどの動物がギリシャの都市ヘリケから逃げ出し、その数日後に地震が街を襲った、という報告が残されています。
そもそも猫は、よく飼い主の帰宅がわかるとか地震を予知すると言われています。人の死を予知できるオスカー君は有名ですよね。
果たして猫のシックスセンスは本物か？調べてみました！
■猫は飼い主の帰宅がわかる？
玄関を開けると猫がちょこんと出迎えてくれる。こんな経験をした飼い主さんは果たしてどれくらいいるのでしょうか？
世界的にみても、いつもと違う時刻に帰ろうが、何ヶ月も留守にした後だろうが、猫が必ず出迎えてくれる、という飼い主さんは少なくないようです。
この現象を徹底的に調べたのが、イギリスの生物学の研究者、ルパート・シェルドレイク。
1998年、シェルドレイクが率いる研究チームは、イギリスのロンドン、グレートマンチェスター、サンタクルーズの3箇所で電話アンケートを実施しました。
猫を飼っている世帯を無作為に1000世帯選び、「あなたの猫は飼い主の帰宅がわかりますか？」と質問したところ、なんと31%の人がイエスと答えたそうです。
さらに半数近い飼い主は、「うちの猫は私が外出しようとすることさえ察知できる」と答え、その中でも35％の人は「自分の猫にはテレパシーがあり、こちらの考えを口に出さなくても猫にはわかる」と答えています。
なるほど。すごい。3割の飼い主さんは「猫は飼い主の帰宅がわかる」と答えているというこの事実。それなら地震予知だってできそうですよね。
■猫は地震を予知できる？
2011年。忘れもしない東日本大震災のときの猫の状況を調べた研究者が山内寛之教授。彼の研究グループは、この地震のあとに１年かけてペットの飼い主にアンケート実施しました。
その結果、700人を超える猫の飼い主と、1200人の犬の飼い主が回答した結果がコチラ。
・地震前の数日間、異常な行動が見られた：猫16%、犬18%。
・地震の数時間前に異常な行動が見られた：猫30%。
この回答の真贋をさらに精査するために、研究者たちは地震が起こった地域の牛から取れた牛乳の生産量も調べました。その結果、地震のもっとも被害が大きかった地域の牛の牛乳の生産量は、地震前の6日間は少なくなっていることがわかったそうです。
猫の第六感。少し古い記録ですが、1942年、イギリスのエセクターという都市で、突然猫たちが街を脱出し、その数時間後にドイツ軍による大規模な空撃が起きた、という記録も残されています。
これ以外にも、2004年の12月26日に起きたスマトラ島沖地震の数時間前にも、象やバッファローの群れが、犬や猫とともに高いところへ移動した、という話も報告されています。
■「セロトニン症候群」が原因か？
動物の第六感の理由。科学的な裏付けとして「セロトニン症候群」を唱える学者もいます。この「セロトニン症候群」とは、地震が起きる地域上空の電離層の乱れのこと。
電離層とは、イオンを含む地球の大気層が電波を反射できることを言います。地震が近づくと地球の奥深くで歪みが発生するために、地表付近の空気中に陽イオンが発生、すると脳内のセロトニン濃度が高くなり、めまい、興奮、混乱、不安といった症状が引き起こされるのです。
この「セロトニン症候群」の副作用は地上に住む動物全てに作用しますが、とりわけ影響をうけるのは巣穴で生活する動物。特にげっ歯類動物が姿を見せなくなったら、地震の前触れかも知れません。
■最後に
猫のシックスセンスは本物か？そう質問されたら、個人的にはイエス、と答えてしまうかも。これは猫だけでなく、犬やネズミ、象などの大型の動物にもあるようです。
ペットの異常行動を集めて比較分析するシステムがあれば、今後の自然災害を予知する手段になるのではないでしょうか。
イギリスの生物学の研究者、ルパート・シェルドレイクは現在も猫の地震に対する反応について研究を重ねています。彼の調査報告が今後も期待されています。