「猫さん、遊びは好きですか？」シッター先でお打ち合わせの時、必ず聞きます。すると、「子猫の時は、まぁそれなりに・・・でも、今は・・・」と、見れば、傍らには涙を流して大あくびの猫さん。「あ、そ・・・じゃ、これは？」と私が持参したおもちゃを軽く動かした途端！猫の耳はピンと立ち、ヒゲは広がり、瞳はランラン、そしてお尻を激しく左右に揺らして、あっという間に飛びかかってきました。なんたるキレの良さ。更には、高橋沙羅ちゃん並みの華麗な大ジャンプを披露、見事獲物をしとめたのです。「こ、これ・・・私の猫！？」とお客様も驚く大変身。最後は三回ひねりを加え、内村航平スペシャルまで見せる余裕。猫が本来持つ『狩猟本能』が刺激されたのです。
三食昼寝朝寝夜寝付きの家猫にとって、狩りは必要なくなってしまったけれど、本能は依然として眠っています。その眠りをどう呼び起こすか、それが猫を夢中にさせる鍵なのです。市販のおもちゃが一度きりで捨てられるのはよくある話（ま、一撃で破壊なんてこともありますが）でも、それはおもちゃが悪いわけでも、猫のせいでもありません。私は声を大にして言います。「あたなの動かし方が悪い！！」「・・・じゃ、どうすればいいのよ！？」簡単。「獲物の気持ち」になって動かすことです。真剣にセミや蝶々、鳥、ネズミになってください。猫の追跡をどうやってかわすか？本気で逃げましょう。ゆっくり地面を這わせ（コツは壁に沿って移動させる。これでもう、猫胸キュンです）素早く空を飛ばせたり、小刻みに震えたり、時には壁にぴたっと止めてみたり、動きに『虫緩急』をつけましょう。大事なのはスキをみせること。「いま。休憩してんだからねぇ、油断しちゃってるもんねぇ！」と心の中でつぶやくのです。これぞデリケートな匠の技。その上、障子の影から一瞬、姿を見せたり、大きな布の下で「未確認移動物体」になってごらんなさいな。猫は正体を確かめたくて、我を忘れて飛びかかります。箱の中で動かし、音だけを聞かせるのもテクニック。猫の耳はとてもいいので、「姿は見えねど、カソコソリ」もう、一瞬で魅せられます。
そう、合言葉は「チラリ、ＵＦＯ，カサコソリ」です。そしてここが一番重要。時には「捕まってあげましょう」ガブリと噛んで仕留めた快感、それを猫に味あわせてあげるのです。頑張った子にはご褒美。もちろん、捕まったら、ジタバタ、ドタバタ、あがき、うめき、リアルな虫やネズミを演じてください。１０分でいいです。真剣に向き合いましょう。読書しながら、電話しながら、ポケモンゴーしながら「片手間遊び」など、もってのほか。あなたが本気で虫やネズミを演じるほど、アカデミー助演虫ネズミ賞にノミネートされればされるほど、猫には至福の時が訪れるのです。どうか、彼らの野生本能を引き出してあげてください。そうすれば、猫はどれだけおばあちゃんになっても、どれだけ猫背になっても（あ、生まれつきか・・・）遊びます。ただし、ご注意。猫は夢中になると、ところ構わずジャンプしますので、くれぐれも家具や、花瓶、横になっているお父さんなどは避けてくださいね。さぁ、本気で遊びましょう！野性味プンプン猫とお膝ゴロゴロ猫、サバンナとお茶の間で、猫との暮らしが二倍楽しめますよ。
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